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ニューヨーク州、強制退去禁止の継続

  • yasukoskim
  • 2021年9月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:2022年1月12日

Eviction Moratorium(強制退去禁止):2020年の12月にクオモ州知事はパンデミックの中で職を失った人、収入が減った人・企業・小売業者たちが家賃を払えないと言う理由で追い出されることがないように強制退去禁止法の取り決めにサインをしました。初めの禁止期間の終了は2021年5月の予定でしたがそのさらなる延長が決定しました。



議会と州議会上院は9月2日水曜日の夜、ニューヨークの住宅および商業テナントの強制的な立ち退き禁止また、差し押さえ禁止を来年の1月15日まで延長する法律を可決し、新しいニューヨーク州知事のキャシー・ホクル知事は木曜日の朝に法に署名しました。


この決定が不動産投資に与える影響は何か。


後9月9日、25000人以上が登録しているニューヨークのRent Stabilization Associationに所属する家主たちがニューヨーク州を相手に訴訟を起こしました。訴えとしては家賃を払う経済的能力のある賃貸人を「携帯を買い替えているのに家賃を27ヶ月も滞納し続けても」強制退去ができない法律はおかしいという抗議や、救済として家主に払われるべき家賃が正しく送られていないなどが挙げられています。事実、救済措置として支給されるはずの20億ドルの予算は8月23日の時点で2億300万ドルしか家主に支給されておらず、救済金の支給に遅れが出ているため家主の経済的ダメージは日を追うごとに大きくなっています。モーゲージや数々の支払いができず膨らむ一方で、資金のない大家は破産に追い込まれています。


強制退去禁止法解除後のマーケットは?


2007〜2008年の経済危機の中、資金の少ない中小の家主達も破産に追い込まれ、持ち物件を破格で売ったり、抵当に入れられていた物件をオークションで安い値段で買われたという歴史があります。政府のインセンティブに誘われて、住宅賃貸物件の所有権がまとめて機関投資家に移り彼らのポートフォリオが再構築されてきました。住宅賃貸物件は投資として安定性があり利回りも良いため、BlackstoneやKKRなどの機関投資家は長い期間にわたりユニットを保持し賃貸市場への投資を継続しています。


また投資クラスの違う一戸建て賃貸は歴史的に中小規模の投資家が保有していたのですが機関投資家の存在の増加は衰える兆しを見せていません。Redfinの調査によると、今年の前半に、770億ドルが機関投資家の賃貸市場向けの住宅用不動産の取得として費やされたそうです。つまり強制退去法が解除されることで、機関投資家はさらに持ち株を拡大する機会が増える可能性があります。

全国賃貸住宅評議会の調査では、中小規模の家主の23%が少なくとも1つの物件を売却する予定であると述べています。特に郊外の一戸建て市場では、平均住宅価格が過去最高を記録しているため、多くの資金繰りに苦労している家主は損失をカバーする出口戦略を模索しています。そしてそれは救済金が予定通りに到着するかどうか、またその金額が彼らの出費をカバーできるかどうかにかかっています。もちろん損失を減らしたいために、家主は強制退去禁止法が解除されればすぐに家賃支払いの遅れているテナントの退去をすぐさま開始する可能性は大きいと思います。


9月22日にはニューヨーク州の家賃支援の予算はすでになくなりつつあり、追加の支援が必要だとしてキャシー・ホクル知事は議会に追加予算を要求しています。アメリカのイエレン財務長官は、国債の発行を拡大するための議会の対応が進んでいないために10月18日以降に政府資金が底をつき、アメリカ史上初の債務不履行に陥るおそれもあるというニュースも出ています。


債務不履行になり家主も賃貸人も守れなくなる社会になったらどうなるのか考えると怖い。にしてもアメリカ政府がコロナ救済に使った金額はでかい!債務不履行にならず、家主も賃貸人も救済できる支援方法が現れますように。


参照記事 One unintended consequence of the eviction moratorium

Landlords sue New York over eviction moratorium extension




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